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北海道・東大雪の旅Ⅱ

さて三股山荘でゆっくりした後、帰り道に赴いたのは幌加(ほろか)温泉、その名も「鹿の谷」(かのや)です。ちょっと不安になるような雪道の先、着いたどん詰まりにありました。何台かの車も停まっていて営業中であることもわかりますが、なんとエゾジカがお出迎え! 本当に「鹿の谷」だ・・・。

(色々見た中で一番この温泉の雰囲気が感じられるサイトをリンクに貼りました。新しい情報ではありませんが、ご興味ある方はご覧ください。)

 

施設はかなり古くて、館内も私物含め色んなものが渾然一体と云う風ですが、とにかく500円払って温泉へ。

女性専用内風呂があるのですが、湯量のわりに湯船が狭いせいか熱すぎて入れません、そこで混浴の方へ。温泉は見事! 大きな三つの湯船は「ナトリューム泉」「カルシューム泉」「鉄鉱泉」でそれぞれ色も成分も異なります。若いカップル一組がいましたが、露天風呂(硫黄泉)もわりと大きく、向こうとこっちでお二人の邪魔をすることもなくゆっくりと浸かることができました。泉質の違うホンモノの湯量豊富な源泉かけ流し温泉にて至福のひととき♥ (宿泊もやっているようですが、自炊とのこと。)

ゆでダコのようになって「さあ、帰ろう」と玄関を出ようとすると、例のシカ達、頭数を増やし行く手をはばむように陣取っています。車のキーを出そうとポケットに手をやるとヌ〜ッと首を伸ばしてくる(汗)迫力満点です。

 

ぬかびら温泉郷での宿泊は「ぬかびらユースホステル(YH)」。新築で風呂は源泉かけ流し温泉。20代の頃、会員になって利用したYHとはエライ違いで隔世の感、驚きです。

 

YHと一口に言っても様々でしょうが、ここは細やかな気配りや居心地の良さがあるアットホームな、食事も美味しいオススメ・ユースでした。またYHの良さは泊まった人同士の交流があることです。当日も食事が同席になった、同じ横浜から見えた方と色々お話して楽しい夕餉となりました。旅先で写真を撮っているとの事で、素敵な写真を見せて頂きました。

 

夕食後にオーナーのお話があるのは昔ながらのYHらしい場面です。地元ならではの観光・耳寄り情報などと一緒に、朝6時半くらいに近くからウペペサンケ山が赤く染まるのが見えると聞きつけ、晴れていたら翌朝は朝食前にスケッチに行こうと考えつつ床につきました。

 

そしてこれが翌朝、東大雪自然館の駐車場から見えたウペペサンケです。後にも先にも、しっかりと真っ白な山を見ることが出来たのはこの時だけでした。

 

YHのオーナーが「電信柱が邪魔ですが…」と話されていましたが、絵を描くには問題ありません。広い凍った駐車場の真ん中に座り込み地面に画帖を広げ描きます。当然、水彩は無理なのですが試しにちょっと筆に水をつけてみました。すぐに紙の上で氷の結晶となり、それも次にはパレットの上で凍った色となり、そして次には・・・筆の毛がカチンコチンの棒になりました! これにはビックリ。今までパレット上で凍って描けないことは何度もありますが、筆先が瞬く間に棒になったのは初めてでした。それでも今回やっと真白き山を描ける、その事が嬉しくて、凍える右手をなだめすかしながら二枚目のスケッチをし、約一時間。今回の旅のなかで一番心が熱くなり、描いていることが仕合せに感じた時間でした。