「二月は逃げる」そのままに過ぎていきそうです。風が強かった二月上旬、山登りではなく散策観光で秩父まで出かける機会がありました。
西武秩父線の芦ヶ久保駅に隣接している「道の駅果樹公園あしがくぼ」の駐車場が利用でき、氷柱見物には200円の環境整備協力金を払いますが、上の茶屋でおいしい甘酒ややぶきた茶で作った紅茶を振る舞ってくれます。寒さを利用し、山の斜面に水の放水パイプを配置して造られた氷柱の造形ですが、それなりに楽しめました。何より、こうした自然の寒さや地形を活かして地元の活性化につなげようとする、その頑張りが感じられ、甘酒コーナーのおばちゃん達や薪ストーブ用の薪割りを一生懸命している若者、火の番をしているおじさん等などの姿が印象的でした。ここまでの氷柱を作るのには事前の準備が相当大変だったと思います。この芦ヶ久保を含めた「秩父三大氷柱」が、真冬の観光客の集客に一役も二役もかっている様子で、小規模ながら何処かの何かのように「ハコモノ」に頼らない地元パワーが頼もしく感じられました。
当日は和紙を仕入れる為に、帰路に東秩父の「細川・和紙の里」まで足を伸ばしました。ここは2014年にユネスコの無形文化遺産「和紙・日本の手すき和紙技術」の一つとして登録されました。以前にも買い付けに来た事がありますが、しっかりした楮和紙・全紙は山の中で制作するには無くてはならない素材です。「山の絵」の大作はこうした日本の技術なくしては出来ないもので、自然の恩恵と先人の技術、そして手間のかかる行程の上に冷たい漉船(すきふね:和紙の原料を溶かした水槽)に手をかじかませながら和紙を漉く職人さん達のおかげの上に成り立っています。
(写真は和紙の菊判・横幅110センチほどある作品が展示されているところ)