丹沢前衛、厚木荻野地区にある西山三山。一番南に位置する荻野高取山は採石によって日々、山容を崩され山自体が失われつつありますが、その高取山に達する尾根の一つに松石寺尾根があります。その尾根の下方、大平高取登山口にはミツマタが群生していて、この時期には美しい淡いクリーム色から黄色のグラデーションの世界になります。
新聞や地元ミニコミ紙などで宣伝されたこともあり、多くの方が訪れたり、西山登山も兼ねた山ツアーも組まれたりとここ数年賑わいを見せています。
「西山を守る会」のブログでは13日㈰に七分咲きとありました。明日からの晴れ間には満開のミツマタが楽しめると思います。
松石寺尾根にはいいお顔をした石仏、不動明王像などが点在しています。西山月例山行では上荻野浅間神社から入るコースで大平登山口から登ることが多いのですが、ミツマタの時期に取る松石寺尾根は、この石仏と出会えるので楽しみにしています。
が、段々と標高を上げるにつれ尾根上に大きな木の倒木が目立つようになります。登っている向こうを見れば、そこは採石で山が失われている現場です。昔はそこにあった山が“大山颪おろし”と言われる北西からの強風を遮ってくれていたのが、今では何もなくなりモロに松石寺尾根に当たります。その強風に耐え切れなくなった木々が次々と倒れているのです。木が失われていく尾根は土を留めるものもなくなり、尾根そのものが崩れていきます。今見る倒木の尾根は、いつの日か近い将来、この仏さまたちが鎮座している山も崩れて行ってしまう象徴のようで、暗澹たる思いになる悲しい光景でした。(写真はヤブツバキの落花をお供えした石仏です。)