南信・阿智村にある山に行ってきました。初日は落葉を踏みながら網掛山(1133m)へ。途中の網掛峠には手造りの展望台があり、そこには「雑記帳」が設置されていて「なんでもご自由にお書き下さい」。地元の人たちに大切にされているのが分かります。私はその大学ノート見開きに展望台からの眺望をボールペンにてスケッチ。そして歩きやすい昔ながらの旧道を登りつめると山頂を案内する不思議な標識が・・・。
以前なら変なものがあるなーで終わっていましたが、その時は瞬間的に「あ!これはヲシテ文字だ!」とわかりました。この秋に旅をご一緒したロス在住のMさん(明治期の登山家・山岳画家である中村清太郎氏のお孫さん)が何を隠そう、このヲシテ文献を研究していたからです。滋賀の旅を共にしたのもMさんがこの文献研究の為にその地を計画したからでした。
このヲシテ文献が1966年に滋賀県で発見されるまでは日本の歴史は古事記や日本書紀が原点でしたが、原文同士の対比比較の結果ヲシテ文献が両者の編纂された時の原書であることが判明したそうです。
しかし何故それがこの長野の南にあるのでしょう? 山頂にはその由来が事細かに書かれた立派な説明板が立っていました。阿智村・網掛山・・・ヲシテ文献によるとこの地には重大な歴史があるとのことで、ひとしきりその説明板の由来を読みふけりカメラでも撮影。ふと何気なく訪ねた遠方の(殆ど地元以外では知られていない)山での思いがけない「出会い」に驚きつつ、何か不思議な縁を感じざるを得ませんでした。
そしてこの山の次なる「ご褒美」は、山頂から少し下ったところにある東側に開けた第二の手造り展望台でした。ちょっと危なげだけど、そこからの展望は日本一!と言いたくなるようなもの。壮大な南アルプスが端から端まで一望できるのでした。三千メートルの高嶺はすべて白銀に輝き、お弁当を頬張りながら極上の眺めを心ゆくまで楽しんだのでした。