最近はニュースなどで次々と姿を消す寝台特急が取り上げられ、そうするともう決してその寝台券は取れないほどの‘競争’になります。その影で静かに毎晩本州の青森と北海道の札幌を結び走っている夜行急行があります。
まだ今なら寝台券が手に入るかも…ということで、例の「大人の休日パス」を利用しての計画。間際まで日程が調整できず、ギリギリの二日前に「みどりの窓口」へ出向き空席を尋ねたのがどうも良かったのかもしれません。最後の一枚(キャンセル分だったのか?)が取れました。
私はただ単に列車に乗っているだけで嬉しいのですが、やはりこのブルートレインにはそれなりの思いがあります。すでにどこも新幹線で速く便利に移動できますが、鉄道には移動手段としてだけでないもっと別の意味合いを感じます。しかし「採算」という現実の前には無力なのでしょう。たまにしか利用しない旅人の思いは身勝手なものでしかありませんが、こうして夜行や寝台列車が惜しまれながら満席になるのは、現代人が利便性だけでないものを移動手段の鉄道に求めている一つの表れでもあるのではないでしょうか。
各JRでは極端な「豪華列車」を仕立てては完売していますが、一握りの‘セレブ’が楽しむだけの乗り物になってしまうのでは何だか悲しい気分です。世の趨勢・鉄道事情の将来は「豪華さ」に向かっているようですが、鉄道とはもっと多くの人がちょっと頑張れば乗ることの出来る「贅沢」であれば充分で、ひとときの夢を味あわせてくれるものです。そんな淡い思いも「採算」の前には無用でしかなく、時代の流れに逆らえないということでしょうか。
JRも儲かっている東海であるなら同じ仲間会社の北海道を助けたりして「ユニバーサルな足」としての鉄道をもっと総合的に経営できないのか…と素人は考えたりします。少なくとも極々一部の人間しか前向きになっていないリニア新幹線などに巨費を投じるよりはずっとマシでしょう。