毎年初夏・秋と恒例になっている伊那の大鹿村訪問。今回で5度目になるでしょうか。今回は初日こそ半日雨となり上村・下栗の里などを訪ねましたが、翌日はこれ以上ないといった晴天に恵まれました。分杭峠近くの北笹山(仲間内で‘命名’)の見晴らしのいい稜線にでれば、中央アルプスが正面にひかえ、遥か右手方向には北アルプス・乗鞍岳や穂高、常念岳まで見えます。後を振り返れば手の届くほどの近さで雪が消えている仙丈ヶ岳や白峰三山。奥に回り込めば塩見岳、そして大鹿村の二児岳、遠くは聖岳の台形や赤石岳など静岡県に連なる南ア最深部まで、とにかくスゴイ見え方でした。同行の方たちには寛いでいただき、二時間ばかり、稜線での極上の時間を過ごしつつスケッチできたのはこの上なく幸せなことでした。
大鹿村には「延齢草」という古い木造校舎を移築し宿泊施設としている所に毎回お世話になっています。
この「延齢草」のご主人、小林俊夫さんはヤギを飼育しその乳を搾ってチーズをつくっている「アルプカーゼ」という牧舎を営んでられます。
食事には地産の野菜や鹿肉、鱒、そしてチーズフォンデュ、朝は搾りたての濃厚なミルクなど身体が喜ぶ食材が盛りだくさんです。
が、こうした自然豊な大鹿村に現在、リニア新幹線の問題が立ちはだかっています。周囲を取り囲む南アルプス核心部にリニアの長大な(250㎞近くに及ぶ)トンネル工事が計画され、一旦トンネルから出たリニアが地上に現れる場所に大鹿村があたっています。排出される土砂運搬の為に、細い村内の生活道路に十数秒ごとに一台の頻度でダンプが十何年という単位で走り回ることになります。
リニア問題については以前の「つれづれ」にも取り上げましたが(2014年12月23日)環境破壊や水の問題、残土の処理、電磁波などの上に大鹿村では直接的な生活破壊も切羽詰まった問題として目の前に立ちはだかっています。リニアの問題はどこか関係ない場所の話ではありません。JR東海の強引なこの巨大プロジェクの推し進め方、やり方には疑問を抱かざるを得ません。
それ以前にリニア新幹線など必要なのでしょうか? とてもそう思えません。