23日、横浜市内の市従会館にて『丹沢に未来はあるか』のテーマで「丹沢ブナ党」のシンポジウムがありました。会場には追加の席を用意するほどで、約100人の参加者でいっぱいとなりました。
講演は東京学芸大名誉教授の小泉武栄氏、後半はパネリストを迎えてのパネルディスカッション、そして最後は会場との質疑応答などで13〜17時近くまで、熱心に丹沢のブナやシカ問題、また渋沢丘陵のこと等が語られました。
印象的だったのは、渋沢丘陵で甲虫類の調査をしている齋藤理さん(神奈川昆虫談話会会員)の研究内容の発表でした。聞いたこともないような5㍉足らずの甲虫の写真をあげながら、それが絶滅危惧種などのように目立つこともないが、微妙で豊かな、多様性ある環境だからこそ存在するとのことで、そうした珍しい甲虫類が何種も生きている渋沢丘陵の存在の貴重さを教えてもらいました。また渋沢丘陵は丹沢山塊に連なるポイントとしても重要な位置にあり、そこが大規模霊園開発で潰されてしまえば、それに連なる大磯丘陵などへの生態系への影響は避けられないだろうという話でした。
多岐に亘るパネリストの話の数々でどれも興味深かかったのですが、最後に小泉先生がおっしゃった「森の再生と動物の再生はつながっている」という一言は示唆に富んだ、まことに端的に自然と人との関わり合いかたを示された言葉と受けとめました。
害獣として生き物を排斥するだけでなく、本来は里山にて共に生きてきたという事を思い返し、そのように里山や森を作っていかなければならないことに、改めて気づき直す時が来ています。