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霧の夏山・鳳凰三山3

中日もパッとしない天候でしたが、それでも念願の鳳凰三山を歩くことができました。

 

3日目の朝は幸いに前夜の雨も上がり、雨の中でのテント撤収という最悪の事態は避けることが出来ました。

 

薄日も射し、まあまあの下山日和と出発しましたが、やはり天候は上向くことなく、この写真のレンブラント光線のショットが、もしかして下山時の一番だったかもしれません。

 

ともかく安全第一でゆっくりと往復歩いた今回の鳳凰三山。次回は展望を楽しめる日に再訪できたら…と思いつつ、エアマット下は浸水、湿度満点、ジットリのテント泊もまた思い出になるな〜と、ちょっとやせ我慢になりながらも、楽しい夏山でありました。

上の写真の一枚、山座同定したものが下記です。


薬師小屋の小屋番さんとの立ち話

 

この小屋は五年前に改修したそうで、とても頑強な造りできれいな外観でした。が、水場がないことと南御室小屋が手前にあることで、今ひとつ宿泊する人は少なそうです。

ただ、ここに泊まればひと登り(10分弱)で展望の開ける薬師岳付近に飛び出せます。スケッチの為だけにここに連泊し描きまくる、というにはいい場所かもしれません。

 

さて、ヒマそうだった小屋番さんの話。最近、山のことを知らない役所が諸々、山のことを決めているのでその弊害で困る、と言った「愚痴?」でしたが、頷ける点も少なくありませんでした。

と言うのも今回の山行、鳳凰三山に決める直前まで、夏山計画は北岳が有力候補でした。白根御池小屋のテント場でまず一泊目。翌日は北岳山荘のテント場まで上げて、そこから間ノ岳をピストン&スケッチ。最後は北岳山頂を越えて北岳肩の小屋でテント泊して4日目に下山という計画です。北岳肩の小屋は予約なしでテントが張れると、昔なら当たり前、今では登山者にとってはありがたい条件でしたが、他の二箇所は予約必須。しかもこれが「南ぷすリザーブ」とか言う完全ネット予約システムになっているのです。若い人には問題なしでしょうが、ある程度の年齢層ではなかなかハードル高いかも…。

実際、明日明後日のタイミングでの予約でしたが、小屋に電話しても「ネット以外では予約を受け付けません」の対応。仕方なくアカウント登録し予約しましたが、ハッキリ言って面倒でした。しかも前払いで直前だったので、致し方なくカード決済をしました。(決済をしないと、予約が成立しないシステム。)

 

ところが刻々と変わる山岳の天気予報で、どんどん天候悪化。午前と午後でも違ってくるほどで、これでは3000mの稜線でのテント泊は厳しいだろうと、結局鳳凰三山に変更しましたが、今度はキャンセルです。キャンセル・ボタン一つで可能なのですが、即刻、キャンセル料が発生しました。前日キャンセル80%! 北岳山荘の方は、さすがに天候が悪いので、その旨を指定先にコメント付きでメールをして、キャンセル料は取り消されました。これも手間がかかりますが、前日キャンセルの方はそれきりでした。(何か方法があったのかも知れませんが、調べる気力がありませんでした。)

 

コロナ禍でもあり、山小屋の経営が大変だと言うこと、よく分かります。が、このネット予約、事前決済のシステムって、どうなんでしょう? 天候が一番の登山、しかもそれは一週間前では分かりません。直前のキャンセルも大いにある世界です。まして、今回はテント泊です。小屋側の食事準備もなく、屋外の場所確保だけです。(両者とも、かなり余裕あるテント場を持った場所です。)

 

実際自分が経験した事なので、この「南ぷすリザーブ」の小屋番さんの「文句」には大いに同感でした。「だからうち(薬師小屋、南御室小屋)ではそのシステムなんかには入らない」と、登山者にとっての本来の山小屋とはどういうものか、その対応がハッキリと分かれる姿勢が感じられました。これからの山、いろいろと変わって行きそうですが、山は観光地ではありません。生ビールやケーキセットなどのサービスもいいですが、それより大事なことがあると思います。

昔と同じようには出来ないでしょうが、コロナ禍を考えながらテント泊している登山者も少なくない昨今、もう少し柔軟な対応があってもいいのでは?と思わされるシステム導入の一部南ア山小屋事情でありました。