明けて翌朝、朝日がテント場に差し込み、夜中に降った雨でびっしょりのテントも乾きそうな力強さでした。前夜、3日目の天候もどうやら悪そうなので、縦走は諦め、必要なものだけサブザックに詰めての稜線往復に計画を変更したのですが、気持ちはもう「今日は描けるぞ!」と出発前からウキウキとしていました。
しばらくはこの青空が続き、薬師岳山頂に着いた時には勢い、大きな和紙の全紙を地面に拡げ猛然と?描き始めました。が・・・、あれよあれよと言う間に霧が覆いかぶさってきて、見る見る向こうの観音岳を隠してしまいました。
_| ̄|○ ガックリ↓ 猛烈な勢いで描いたので、取り敢えず15分足らずの短い時間でしたが、鉛筆でのスケッチだけはこなせました。パレットに絵具を溶き始めたら、アウト!となり、もうお手上げ。
絵が描けなければ、歩くほか、する事もありません。ともかく山を歩きに来たのですから。そうして渋々と片付けをして、こうなったら地蔵岳まで行って帰るしかない、ということで出発。
薬師岳山頂に居たすべての登山者(10人ほどでしたが)の落胆の気持ちが、そのまま縦走路に三々五々と散らばっていったのでした。
そしてこれが、縦走路中、渾身の?ショット。というのも、一生懸命歩いていても、一体自分は何処に居るのか? 何処に向かって歩いているのか? サッパリだったのです。
このショットは、地蔵岳からの帰路に振り返った一瞬、風のイタズラで撮れたものです。この瞬間に樹林が切れた場所にたまたま居たからで、そうでなければ、稜線からは一度もオベリスクを目にせずに終わった夏山・鳳凰三山訪問となったところでした。