津森山。殆ど地元の人しか知らないかもしれません。房総半島の微妙な起伏の一つでしかありませんが、しかし山頂には立派な木花咲耶姫の石碑や「房州低名山 津森山336.0m」の標識もありました。
毎年年明け頃、千葉の低山を訪ねていましたが、昨年は行きそびれていました。天候が晴れでも房総半島は強風の日が多く、なかなか山日和がありそうでないのです。
年を越してまだ冬の寒さが残っている頃でも、温暖な外房の花畑ではストックやポピー、キンギョソウ等などが色鮮やかに咲き乱れ、いつもそれが楽しみでした。で今回は、水仙ロードとしても有名な内房を散策しつつ、ついでに取り敢えず山と名の付くところまで行ってみようと探したのがこの津森山でした。
ちょうど冬と春の境目だった当日は風も穏やかで、朝の冷え込みが春の力強い日差しでポカポカになると言った一日でした。
地元の方が菜の花摘みに精を出しています。積んだ菜の花を背負子になっている大きな竹製の籠に入れているのも風情があります。
この日の行程は大半が舗装道歩きで、そのために靴は登山靴ではなく歩きやすい運動靴にして正解でした。千葉は低山揃いでピークハントの楽しみは今ひとつでしょうが、こうした里歩きはとても魅力的です。
水仙は終わりかけでしたが残り花が風にのっていい香りを漂わせ、菜の花の黄色と早咲きの河津桜のピンクが目に華やかな春を楽しませてくれます。そして緩やかに広がる丘稜の先には長閑な春の海が見えるのでした。