冬型の気圧配置が厳しかった後の平日、県境の静かな山稜を久しぶりに訪ねてみました。
思い返せば前回は2006年のGWに、駿河小山駅から富士急バスの「明神峠行き」に乗車しこの山稜を縦走後、駿河小山駅まで下山し周回したのでした。すでに15年近くの歳月が経っていました。
この稜線はかつて、岩田 澗泉(たにいずみ)さんという方が個人で“情熱”を以って整備されていた場所です。特に手作りの道標は当時より賛否こもごもあったとは言え、概ね多くのハイカーの楽しみの一つになっていたことは確かです。私もその一人でした。
この写真は2006年に訪ねたときのもの、同じ道標ではありあせんが、上記の写真を見れば年月による風化は歴然です。
昨年9月にこの道標の写真集『道しるべに会いに行く』(風人社)が出ました。2017年秋に岩田さんは亡くなられましたが、生前からお付き合いのあった写真家の三宅 岳さんの貴重な写真と共に、浅井紀子さんという方がその道標の文字も写し書き取った内容をまとめた本です。
たまたま『山の本』(白山書房)の新刊紹介欄にこの本の紹介文を依頼されたのがご縁で、久しぶりに「道しるべ」の道を歩きにでかけたのでした。
加えこの山稜の魅力の一つには、立派な美しいブナと出会えることがあります。
東北や新潟など多雪地帯のブナ林はスラーッと背が高く、幹の色も白っぽいのですが、樹齢を重ねた丹沢のブナは威風堂々とした威厳のある姿です。
新緑や美しい緑の葉を豊かに蓄えたブナも素敵ですが、この芽吹き前の時期にしか出会えない、気の遠くなるほど無数に枝分かれした枝先がまるで銀細工のように輝く様子には息を呑む思いです。
道しるべとブナを訪ねた写真を載せます。
湯船山稜のブナたち
当日の山行