静かな夜が明け、外に出てみると、ベンチにうっすら雪が積もっています。堅牢な木造の小さな小屋内は、氷点下にはなりませんでしたが、朝方冷え込んだわけです。
朝食をとっているうちに外が明るくなってきたので、私は小屋の位置からだと見える十二湖への稜線をスケッチ。
描き終えて山頂に行くと、雲が大きく動いては、朝の日差しが射したり隠れたり…、「天使の梯子」とも言われるチンダル現象も美しく、白神岳での最後のひとときを心ゆくまで貸切の山頂で過ごしました。
はるばるやって来て登れた白神岳。晴れ渡る空ではありませんでしたが、眺望もそこそこでしたし、むしろ変化に富んだ光と雲の動きを堪能出来ました。山頂でもスケッチし手先も身体も冷え切りましたが、それもそのはず。下山準備をして再び小屋から出たときには白いものが空からたくさん落ちてきました。雨ならぬ、雪の下山!
しかし、それも束の間。再び秋から季節を遡りながら、ゆっくりとブナの森を楽しみながら下っていきました。
<写真は山名標識の上にスケッチブックを置いて描いているところ>