これはイヌザクラの実です。
「西山を守る会」の仲間のWさんが、「以前訪ねたときにウワミズザクラだったかイヌザクラだったか不明なので確認がてらまた行きたい」と言って梅雨の休日に神奈川県逗子市にある「池子の森自然公園」に誘ってくれました。
「池子の森自然公園」とは池子米軍住宅地区(旧日本海軍の弾薬庫跡だった)が一部開放された自然度の高い緑地です。この池子米軍住宅地区は終戦後、米軍に接収されていましたが、1954(昭和29)年の逗子市政の開始とともに返還運動が始まり、ちょうど60年後の2014(平成26)年11月、接収地の一部40ヘクタールの土地の「返還を前提とした日米共同使用」が開始されました。2015年2月から「池子の森自然公園」として逗子市が維持管理を行っているそうです。
そして70年間手つかずだった自然は、2016年3月より緑地エリアとして限定開放が始まり、今回訪ねたわけです。(限定とは土日休日のみ 8:45〜17:00) 但し当日は残念ながら、森のなかの散策路は未整備(あちこちに倒木が見られた)で通行止めのため、舗装された遊歩道を辿りました。
広々とした緑地内は公園風に整備されていたり、周囲は濃い緑に囲まれ自然度満点なのですが、歩いていった遊歩道の先にはこんな金網のある行き止まり(この先は米軍施設)となり、白線から引き返します。
また遊歩道の各所にそれとなく脇道があるのですが、それは旧日本軍の弾薬庫跡の敷地ではないかと。暴発の連鎖を防ぐためにも、広い敷地内を不規則な肋骨状に区分けし弾薬庫を設置したであろうことは、自然観察を楽しみに行った“オバサンたち”にも容易に察せられるのでした。
豊かな自然、それが旧日本軍や現在の米軍施設にまつわる場所であるがために残っている現実。深い緑のなか、時折タトゥーいっぱいの肌で、行き止まりに関係なく往復ランニングをしている施設関係者(アメリカの人)と笑顔で挨拶しつつ、複雑な思いで植物観察を楽しんだ梅雨の半日でした。