『山の本』という山の本です。
この号で111号、季刊誌(年4回)なので、すでに28年近く続いている雑誌ということになります。紙の本、雑誌、本屋…出版業界を取り巻く昨今の厳しい状況を考えると、よく続いてきたと思います。まずは頑張っている白山書房に敬意です。
私は創刊号からの読者でした。
そして2008年の63号より、熊谷 榧氏(戦後の洋画のみならず日本の画壇を代表する画家・熊谷守一の娘)の後釜として挿絵を担当し始めました。当初は熊谷 榧さんを引き継ぐとは…と緊張していましたが、この仕事は自分にとって、モノクロで表現するという新しい世界を開いてくれました。
また2011年の75号からは絵に短い文を寄せて書く、画文の連載の担当も始まりました。これも簡潔にまとめた文章を書くという、ある意味長く書くより苦労しますが、いい勉強になっています。気づけば、この連載も今回で37回目。10年目に突入しました。
今回の春号では、特集の「春だからこの山へ!」に寄稿しました。ある日編集部から、わりとタイトな日程で「山へ出かけてその場で描くをテーマに、いくつかの山を、作品を3〜6点添えながら、春にしぼり、原稿用紙8〜9枚」と連絡がありました。
私の場合は、同じ原稿でも絵が半分以上助けてくれるので、これはかなり“役得”です。しかも今回は、若かりし頃の作品から始まり、何枚か思いつく春の絵を辿って書いていけば、長年描き続けているので何とかなるというパターン。この2017年に雪解け時期を訪ねた北海道のスケッチも含め、その他数点の作品と共に原稿用紙を埋めました。
世間は、いえ世界中、コロナウィルスで騒然としています。こんな時でもありますので、よろしければ、今どき珍しい文字媒体のいぶし銀のような山の本をお手に取って、知的な?机上登山の時間を過ごして頂くのも一興かと…。
『山の本』は大きな書店(山岳コーナー)にしか置いてありません。あとは書籍コーナーのある山の店くらい。
便利なのはネット注文か、直接「白山書房」(☎042-669-4720)に問い合わせて頂くかになります。