さて翌日も快晴、戸隠方面に足を伸ばそうと宿を出発。野尻湖まで下り国道18号に入るとすぐに「一茶記念館」の看板が目に留まりました。小林一茶ってこの辺に縁のある人なんだ…とちょっと立ち寄ってみたら、これが音声ガイド付きのなかなかの展示。しかしちょっとは山を歩こうと思っていたので、一旦引き上げまた帰りに立ち寄ることに。
そして向かった戸隠高原。これが行ってみてビックリの物凄い人出、車! まるで観光地であることを知らずにノコノコ出かけて、駐車場にも入れないほど、蕎麦屋となれば道路にまではみ出す何時間待ちかという大渋滞。何も知らずに呑気に向かって、仰天してそそくさと人が居ない方向へ転進し、ようやく誰も居ない戸隠スキー場の広大な駐車場にやってきて一息つきました。
スキー場駐車場まで入ったが為に致し方なく?向かったのが飯縄山の前山、瑪瑙山。・・・そしてこの段階では恥ずかしながら何と読むのか分からずに、ゲレンデ途中にすでに物置小屋と化した元蕎麦屋の看板が「そば処めのう」となっているのを目にして「なんでここで『めのう』??」といぶかしながら登山口探しをウロウロしていたのでした。
メジャーでない山は登山口を探すのが難しく、特にそこはスキー場のゲレンデ。どこもかしこも開けていて、よくわかりません。地図と照らし合わせようやく一つ目の道標を見つけてからは気分のいい山道に取り付けました。
落ち着いた深まりを感じさせる紅葉のなか、ブナの大木が現れ、ミズナラの林には熊棚(クマが木に上ってその上で木の実を採食した痕)もちらほら見受けられます。
熊鈴を鳴らしゆっくりと登っていくと一気に展望が開ける上方のゲレンデに飛び出し、そこからは正面に戸隠山が屏風のように、そして奥には北アルプスが一直線にくっきりと見渡せ、思わず歓声が! 最後のもうひと登りで山頂ですが、そこはスキーリフトの最高点と同じ場所でした。スキーシーズンにはさぞかし極上の展望をほしいままに滑走が出来るのでしょう。
着いた貸し切りの山頂にて、スケッチと憩いの時間をたっぷり過ごしました。
そして下山後にはまだ余裕があったので、往路で立ち寄って途中だった「一茶記念館」に再び戻り、音声ガイドの続きを聞いて閲覧終了したのでした。
この音声ガイド、語りがリリー・フランキーだったのです。映画などにも出演しているマルチ・プレイヤーですが、実は同窓の武蔵野美大出身。初めて耳元に流れるクリアーな彼の語りを聞き、その上手さに舌を巻き、多方面に才気溢れるクリエイターに魅了されました。
そんなオマケ付きの戸隠訪問でしたが、振り返れば観光客と車の大渋滞で追いやられるように登った瑪瑙山は殊の外良かったし、何より訪れる人もほとんど居ない静けさ(飯縄山からの下山で立ち寄った登山者一人)。無計画なようでしたが、展望を満喫し絵もそこそこ描けた二日間でした。
(写真は「一茶記念館」の正面入口)