毎度のことですが、個展に作品搬入前の今が一番、荷物がごった返している時期です。(写真はその一部)
昔描いていた油絵に比べれば、水彩画は格段に場所を取らずに助かりますが、それでもコツコツと描いているといつのまにやら「紙の山」となります。描くのは夢中になっているのでいいのですが、さて溜まった作品の整理整頓となると先送りで、やらねば…やらねば…と思いながら、やっとある日に重い腰を上げ取り掛かる、の繰り返しです。
そして個展準備が始まるとそれら作品の取捨選択がまず悩みのタネです。場所、季節、前回との兼ね合い、作品の大きさ、数量、個展そのものの構成などなどを考えはするのですが、実際はどれを額装していくか、毎回悩みに悩みます。
描くときは、何も考えていません。横に広がる構図の山が相手なので、無意識にスケッチブックをどんどん横に継ぎ足して、どこまでも長い絵を描いてしまうこともしばしば。また、どうしても持参の画帖のなかでも大き目のものに好んで描いてしまうのも、対象が巨大なせいで後先考えず・・・。するといざ額装の段階で大変困ることになるのです。
今回、案内状に使ったこの「利尻岳」の絵もDM用に画像処理してありますが、実際はスケッチブック3枚組の横長です。いざ額装するとなると当然“特注額”で、展示のときも左右対称に二点支持で掛けてください、と額屋さんから伝達されました。
この利尻岳の時も、サロベツ原野側から雲が晴れるのを今か今かと待ちながら、奇跡的に晴れて山頂まで見えた時の興奮は今でも鮮やかに思い出されます。(2016年12月9日の「つれづれ」に記載)
最近は絵画教室でさえ「写真を撮って後でそれを見て描きましょう」と教えているところがあるそうで、本当に驚きです。絵を描くとは一体何なのか? その根本からして全く違う世界に居るような話で、私には理解不能です。絵画とはまず空間を捉えることが第一歩と思うのですが・・・。
それはともかく、自分にとっての山の絵は、すべてどれも「もう二度と描けない」一回限りの一点勝負のものです。それを「現場主義」と言うのかもしれませんが「主義」以前にそもそも山・自然と対峙すると言うことは、私にとってはその場で描く以外他に思いつかなかった、と言うのが正直なところ…。
♡秋の日野春アルプ美術館にて、そんな山の絵たちをご高覧いただければ幸いです♡