群馬県桐生に向け北の栃木県足尾から谷間を流れるのが渡良瀬川です。かつて鉱山として「足尾千軒」と隆盛を極めた足尾ですが、鉱毒による水質・土壌汚染で人身被害・自然破壊を引き起こし負の歴史を刻みました。JR足尾線が「わたらせ渓谷鐵道」となって貨物廃止で足尾での製錬事業も事実上終止しました。今では地元住民の足と同時に風光明媚なわたらせ渓谷観光の目玉として地域活性に一役買っています。
足尾銅山最寄りの通洞駅より西の山間に入っていくと「銀山平」というところに行き着きます。ここが庚申山の登山口でもありますが、また足尾銅山の鉱山そのものであった備前楯山(びぜんたてやま)の登山口「舟石峠」にも通じています。備前楯山という名は、1600年始めに備前出身の百姓二人が鉱床を発見したことによると聞きました。当初の予定では銀山平に宿泊し、行き掛け駄賃の山としての備前楯山と足尾の観光を兼ねて「わたらせ渓谷鐵道」の「わっしー号」乗車、そして本命=念願の山=庚申山と計画したのですが・・・。
(写真は庚申山山頂先の展望地から、皇海山(すかいさん)の眺めです)
出発予定の少し前に「わたらせ渓谷鐵道、脱線事故」のニュースを耳にしました。エッ!とあまりのタイミングに驚きましたが、なんと復旧に時間がかかり結局計画していた「わっしー号」(観光用列車)どころか路線の大部分に当たる大間々(おおまま)〜間藤(まとう)間が運休のままでした。写真はせっかくなのだから…と何の役にもたちませんが、山の帰りに迂回してその事故現場の踏切近くを立ち寄った時のものです。脱線の痕跡があちこちに見られました。
また行掛け駄賃と考えていた備前楯山も、生憎の雨で登れず。代わりに銅山観光や赤城山のハイキングに切り替えたりと計画変更を余儀なくされました。
が、その甲斐あって本命の庚申山登山日にはいい日和となり、ゆっくりペースの登山も、この季節の日の長さに助けられ焦ることもなく十二分に楽しむことができました。修験道の山らしく後半は険しい岩場の梯子や鎖場が多く出てきましたが足場はしっかりとしていて、着いた山頂では思いがけないシャクナゲの花と大展望に迎えられ「終わりよければすべて良し」の山行となりました。
(ちなみに「お山巡り」コースは険悪な岩場が連続で上級者向き、今回は当然一般登山道を辿りました。)
*山の様子は下記の写真にてご紹介してます。*また銀山平で宿泊した「かめむら別館」と言う宿のことなど含め、続編をまた記したいと思っています。