すでに2月のことで今回の展示は終了していますが、毎年春と秋、東京駅近くの「八重洲ブックセンター」1Fエスカレーター脇のスペースにて鉄道風景画家 松本 忠さんの展示会が開かれます。最初はたまたま通りがかりだったのですが、以来何度か足を運んで見せてもらっています。
松本 忠さんは現地で取材した写真を元に精密、繊細、とても丁寧な作画をされています。鉄道好きな人はもちろん、昔地元で活躍した懐かしい鉄道風景などを目にすると、ほのぼのした気持ちになります。
さて、作者の松本さんは自然災害や東日本大震災被害などで運休している路線、鉄道の応援もなさっています。現地の鉄道に乗りに行けなくても、そこの切符を買い求めることで少しでも力になろうとしているのです。
会場ではそうして求めた数々の切符をハガキ大のオリジナルシートに貼って、来場のお客さん達に無料でプレゼントしています。私も幾つか頂いていますが、なるほど、こうした「応援」もあるのだと松本さんの物静かな中の熱い思いが伝わるようです。
松本 忠さんのホームページ「もうひとつの駅」
当日はJR只見線への「愛」が強い私たち二人は、会場隅での立ち話でもその話題で盛り上がりました。2011年7月の豪雨被害で線路や鉄橋が壊れ不通区間があるまま過ぎていましたが、「上下分離方式」(線路や駅舎などを自治体が管理し、JRが列車を運行させる)にて復旧のメドがたちました。
2月28日付け東京新聞の記事に放送大学の原武史氏(政治思想史)が「JRは只見線の魅力を活用できていない。新幹線やリニアなど高速鉄道や豪華列車で富裕層を対象とした格差社会に棹さすようなサービスに傾注し、鉄道の原点を忘れているのではないか」とあったのには、まさに同感。一般市民には完全に高嶺の花である豪華列車に、いったいどれほどの価値があるのでしょうか? 完全に公共性を喪失した昨今のJRの姿に、襟を正し原点に立ち戻ってほしいと切望します。